2006年04月28日

ほっとバター(宿毛市)

遍路道は高知県の宿毛(すくも)から松尾峠をとおって、愛媛県の一本松町(現在は合併して愛南町)へとつづいている。

その先は城辺(じょうへん)町で、次は40番観自在寺のある御荘(みしょう)町になるが、ともに合併して同じ愛南町になってしまった。

宿毛から一本松まで食事処やお店はないので、宿毛で食事をすませるか、なにか食べるものを買っておいたほうがいいだろう。

宿毛を朝出発するなら、国道56号と321号が合流する北東角あたりの「ほっとバター」でモーニングがいただける。

へん保協の地図でいうと、秋沢ホテルのななめ向かいくらいになる。

小さなパン屋さんだが、少し席がもうけてあり、店内で食事できるようになっている。

ネットで調べたら、愛媛県の城辺に本店があるようだ。

朝から地元の人たちがひっきりなしに買い物に訪れていた。

窓から外を眺めながらモーニングのコーヒーを飲んでいたら、国道から分かれ松尾峠へと向かう歩き遍路の姿が見えた。

ぼくもコーヒーを飲み終えたら、そろそろ出発して峠を目指すとしよう。
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2006年04月23日

親子遍路旅日記(今井美沙子/東方出版)

1981年春、夫婦と小学生の子どもの3人連れで、歩いたり乗り物を利用したりしながら、高知の31番竹林寺までまわった遍路体験記。

著者は作家で、本書は当時の毎日新聞に連載されていた記事をもとにまとめたもの。

この本のおもしろさは、著者一行の旅の体験というより、そこで出会った人に聞いた話にある。

7番十楽寺門前の茶店のおばちゃんの話は、民俗的な香りがにおい立つような不思議な話だ。

若いころ病弱で寝たり起きたりの生活をしていたとき、「ここに病人がおるな」と言って、黒い僧衣をまとい背中に「お加持、お接待」と墨書された白い布を縫いつけた男が急に入ってきた。

そして「腹ばいになりなさい」と言って、背中と腰を気合いをかけながら二、三度強く押した。

「これで身体はよくなるから、明日からここを通るお遍路さんに、『お茶、お接待。お茶あげます。まよけのお茶』と三べん言いなさい。それでお遍路さんが受け取らないときは大師が受け取るから」

僧は謎めいた言葉を残して立ち上がる。

おばちゃんは身体が楽になったことを告げ、「どこから来たお方かだけでも教えてください」と尋ねると、僧は「逆打ちじゃ!」とひとこと言って帰ってしまった。

だが、家の前の床几に坐っていた隣のおじいさんには、誰も来とらんのになんでひとりごとを言っていたのかといわれてしまう。

おばちゃんはその日から元気になり、以来三十余年、毎日お茶のお接待を続けている。

ぼくがずいぶん前に遍路をしていたときには、おばちゃん(その頃はおばあちゃん)はまだ7番の前のお店で元気にしておられた。

もうひとつ、31番竹林寺で出会った托鉢の老遍路との対話は、もっと現実的で、とても興味深い内容だ。

本文中には写真が多用され、臨場感は抜群。

book data:親子遍路旅日記/今井美沙子/東方出版/1981年

親子遍路旅日記20cm.jpg
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2006年04月20日

遍路用の自転車選び

歩き遍路をしたいが、あまり長期の休みはとれないし、自転車なら・・・と考えておられる方もけっこう多いようだ。

自転車なら、ゴールデンウイークなど1週間くらいの休暇があれば、3回の区切り打ちで結願できる。

手持ちの自転車で遍路にまわれるならそれにこしたことはないが、ツーリング用の自転車購入を考えておられる方は、どんな自転車がいいのかちょっと迷ってしまうかもしれない。

いちばん問題となるのが、どうやって現地に自転車を持ち込むかだろう(遍路道に近い四国在住の方は除く)。

自転車に詳しい人なら、ランドナー(昔からあるドロップハンドルのツーリング用自転車)でもマウンテンバイクでも自分の好きな自転車を選んで、輪行して行けばいいのだが、はじめての人にはちょっとめんどうだ。

そこでおすすめなのが、折りたたみ自転車だ。

折りたたみ自転車を選ぶさいにポイントとなるのは、コンパクトさと走行性能だろう。

1)コンパクトさ重視なら

パナソニックのTraincle(トレンクル)に代表される、軽くて小さく折りたためるタイプが最適。

トレンクルは世界最軽量の6.5kgのTraincle6500と7.5kgのTraincle7500があるが、値段がだいぶちがうので、Traincle7500でじゅうぶんだろう。

ブリヂストンのTRANSIT(トランジット)にもスーパーライトという7.4kgの軽量タイプがある。

このタイプの自転車の利点は、乗り物に気軽に載せられるということ。

ぼくが四国で会った自転車遍路にもトレンクルを利用している人がいて、「雨なんでバスで行きます」と言って、パッとたたんでバスに乗ってしまった。荷物はほとんど自転車には積まずに、ザックをかついでいた。

この年は大雨で久礼から37番岩本寺への国道が通行止めになったりで大変だった。

2)コンパクトさも走行性能もどちらもある程度重視するなら

r&mのBD-1のようなタイプが最適。タイヤの小さい小径車なのである程度コンパクトに折りたためる。といっても、電車などに載せるにはちょっとかさばる。

新幹線などに乗るときは車両の最後列の席の後ろのスペースに置けばいい。混雑するシーズンなら指定席の車両を利用するしかない。

バスに気軽に載せる、というわけにはいかない。無理ではないけど。

走行性能はけっこうよくて、変速機もついているし、ツーリングしていても太いタイヤのマウンテンバイクなどは追い越していくくらい。

ただタイヤが小さいので、路面の状態が悪いところでは地面からの衝撃がもろに伝わってくる。

折りたたみ方は、最初はちょっととまどうかも。慣れれば30秒くらいでできる。

3)走行性能重視なら

GIANTのMR-4のようなタイプが最適。タイヤが大きいのでそれほどコンパクトには折りたためないが、それだけに乗り心地は抜群。

電車に載せるときはちょっと気をつかうかも。空いていれば全然平気だが。

比較的短時間で車で四国に渡れる地域にお住まいなら、自動車に積んで現地に入って適当な駐車場にとめ、遍路が終わったら元の駐車場所に電車などでもどるという方法もある。

     *     *     *

折りたたみ自転車のカタログ本が、えい出版や辰巳出版から出ているので、参考にしてみてはいかがだろう。


以上は、遍路用の道具としての折りたたみ自転車選びだが、これから自転車を趣味にもしていきたいという方なら、ちょっと変わった自転車を選んでみてもいいかもしれない。

イギリスの小型自動車「MINI」の開発にたずさわった人がつくったモールトンとか、ユニークなかたちのストライダとか。

「ストライダで逝こう」というホームページは、「自転車遍路の交通手段」「装備」「エリアガイド」などが見やすく整理されている。写真が楽しい。
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2006年04月18日

戒壇めぐり

戒壇めぐりとは、仏堂などの地下の暗いところを手探りでまわることで、長野の善光寺のものがよく知られている。

四国八十八カ所の札所のなかでは、35番清滝寺、51番石手寺、75番善通寺で戒壇めぐりができる。

清滝寺では大きな薬師如来像の台座の地下に戒壇めぐりがある。規模は小さく、1分くらいで出てこられるらしい。

石手寺のものはふつうの戒壇めぐりとはちょっとちがう。というか、戒壇めぐりと呼ぶのは適切ではないかも。ちょっとした狂気の世界?

善通寺の戒壇めぐりは本格的。御影堂の地下に約100メートルの暗闇のコースが続いており、科学的に再現されたお大師さんの声も聞けるとか。

個人的にはこの手のものにあまり魅かれないし、お寺のテーマパーク化というか、桂小枝的パラダイスとしてとらえていた。

だが、ちょっと考えてみると、戒壇めぐりの構造は、辺路(へじ)修行の行道(ぎょうどう)や、修験道の胎内くぐりとも似通っている。

戒壇めぐりのような俗っぽいものにも、古来の修行の伝統のなんらかの反映が影を落としているのだろうか。
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2006年04月15日

あぜち(40番観自在寺近く)

40番観自在寺を打って、門前あたりで食事をしようと思っていたのだが、どうも食事のできそうなところが見当たらない。

国道56号まで出ればお店はあるのだが、札所に着く前に通り過ぎた、おそば屋さん(うどん屋さん?)が気になったので、引き返して入ってみた。

御荘町役場のななめ向かいあたりにある「あぜち」というお店だ。

お腹もふくれないような量のもりそばで1000円近い料金をとるようなそば屋ではなく、そばもうどんもある素朴な食事処だ。

天ざるそばが800円で、けっこう豪華で食べごたえがあっておいしかった。たしか、ちょっと太めの黒っぽい田舎そばだったと思う。

夏の暑さで消耗した体に元気をもらい、今日の宿を目指してふたたび午後の歩きをはじめた。
posted by namo at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 喫茶・食事処 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月12日

雑誌の遍路特集号

雑誌で遍路の特集を組むのは春が多い・・・と思っていたのだが、近ごろではそうでもないようだ。

写真上段中央の『AMUSE』(毎日新聞社、1995年)と下段右の『旅』(JTB、2002年)はともに3月の発行だが、上段左の『SAVVY』(京阪神エルマガジン社、2005年)は9月号、上段右の『太陽』(平凡社、2000年)は8月号、下段左の『BE-PAL』(小学館、2003年)は1月号だ。

『AMUSE』は古い雑誌なので別だが、『旅』『太陽』『BE-PAL』はメジャーな雑誌なので、遍路に興味を持っている方は、書店などで見かけたり、あるいは購入された方もけっこうあるだろう。

ということで、ここでは『SAVVY』(サヴィ)という雑誌の四国八十八カ所特集号を紹介しよう。

この雑誌は関西圏で発行されている月刊の女性誌だ。

ふだんはカフェやスイーツなど女性誌がよく取り上げる企画で特集を組んでいるのだが、京都、奈良などのエリア特集の号もあり、以前にも四国の特集号を出していたことがある。

明石海峡大橋ができてから、関西から四国へは気軽に行けるようになった。東京中心の出版社とは企画が出てくる基盤が違うのだ。

女性誌ならではのキレイなレイアウトで見やすく(読みやすいわけではないが)、イケてる写真もけっこうある。

食事処やおみやげなどの周辺情報は、女性誌だけにそうとう充実している。

遍路に関する情報は、ありきたりの孫引きワンパターンだが、そこはもともと期待してないし・・・。

それよりも、「八十八カ所オリジナル手ぬぐいベストセレクション」などユニークな企画と構成が楽しい。

遍路雑誌20cm.jpg

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2006年04月07日

同行二人(土佐文雄/高知新聞社)

近ごろは自費出版本が書店に流通するようになり、遍路体験記も数多く見かけるようになった。

ここでは最近の本にはあえて触れず、ほかでは紹介されていない昔の遍路記を取り上げよう。

土佐文雄の『同行二人』は初版が1972年の発行で、復刻第1刷が1976年となっており、手もとにあるのは1988年の復刻第9刷のものだ。

昔は遍路本そのものが少なかったため、何度も増刷され、多くの人に読まれた本もあったのだ。

高知生まれの作家による歩き遍路の記録なのだが、体験記的な記事以外に、ちょっとした文学の小品のような読み物的な文章もあり、想像力をかきたてる味わい深い本になっている。

なかでも「病む少女」と題された一編は、せつない。

口絵の写真に39番延光寺の赤亀や82番根香寺の牛鬼が載っているが、高橋留美子のマンガのキャラクター似の現在の像とはちがっている。

あとがきには、「若い遍路にたくさん会ったことも私には意外なことの一つであった」とあるが、30年以上も前から、遍路本には繰り返しこうした感想が述べられている。

人の先入観というものはなかなか変わらないようだ。

book data:同行二人ーー四国霊場へんろ記/土佐文雄/高知新聞社/1972年

同行二人20cm.jpg
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2006年04月05日

辺路(へじ)と行道(ぎょうどう)

辺路のいちばん大きな要素は「行道」だ。

それは歩くこと、巡ることで、大きく言えば四国を巡ることもそうだし、もう少し限られたエリアや、ひとつの場所を回ることも行なわれていたようだ。

たとえば室戸には、東寺(ひがしでら・24番最御崎寺)と西寺(にしでら・26番金剛頂寺)という二つのお寺があるが、東寺と西寺の間を巡ったり往復する行道もあるし、西寺の麓の海岸にある不動岩をめぐる行道も行なわれていたと考えられている。

天台宗の比叡山延暦寺には「にない堂」という建物があるが、これは法華堂・常行堂という同じ形の二つののお堂が渡り廊下でつながったものだ。

その一方の常行堂では常行三昧という修行が行なわれているのだが、それは本尊の阿弥陀仏の周囲を、坐臥することなくひたすら回り続けるというものだ。

天台宗には修験的要素が色濃く入っているので、こうした修行にも古来の「行道」がなんらかの影響を与えている可能性はある。

行(ぎょう)とはまさに行くこと、歩くこと、巡ること、回ることなのだ。
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2006年04月01日

辺路(へじ)と岬の火

火を焚くことも辺路修行のひとつとして行なわれていたようだ。

辺路修行者は火を焚いて、それを海のかなたの龍神あるいは常世の神にささげた。

しかし海洋宗教がすたれて立派な寺院などが建つころには、龍神から寺院の本尊などに火を献上するというふうに解釈が変わってしまった。

龍灯とは龍宮から献上された灯火ということになってしまったが、もとは龍神(海)にささげていたものだという。

また、岬や、海の見える山(ということは海からも見える)で焚かれる火は、漁師など海の民にとって航海の安全のための目印となり、海の民の信仰をあつめることになった。

室戸岬にある24番札所は最御崎寺(ほつみさきじ)と呼ばれているが、それは「火の岬」の寺という意味だ。

炎(火の尾・ほのお)、火垂る(ほたる)のように、火は「ほ」とも読む。「つ」は、天津神(あまつかみ)というように「の」と同じ意味だ。

「ほつみさき」とは「火の岬」、文字どおり辺路の行者が火を焚いた岬なのだ。
posted by namo at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | へんろ雑学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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