2006年08月02日

四国遍路の寺(五来重/角川書店)

本書はカルチャーセンターでの24回の講話をまとめたもので、上下巻の2巻からなる。

四国遍路に関する総論的な講話もあるが、具体的に個々の札所についてもふれられている。奥の院や番外霊場についても言及されている反面、講話をまとめたものということもあって、一部の札所についての話がヌケているのがちょっと残念だ。

だが、そうした部分を差し引いても、「歩く宗教民俗学者」と呼ばれる著者が自らの足で検証したオリジナルな見解が光る本書は、四国遍路に関する最高の解説書のひとつと言っていいだろう。

「海の修験」「辺路(へじ)」「行道(ぎょうどう)」といったキーワードとともにあぶりだされる四国遍路の本質も興味深いが、それ以外にも注目すべき指摘が数々みられる。

一例をあげよう。75番札所の善通寺という名称は空海の父親の名前に由来するとガイドブックなどには書かれているが、これは『南海流浪記』に「善通之寺ハ大師御先祖ノ俗名ヲ即寺号ト為ス』とあり、大師の父ではなく古代寺院を勧進で再興した先祖の聖の名前だと考えられるということだ。

ワンパターンの札所解説本を何冊読んでも、こうした情報にはなかなか出合えない。遍路について深く知りたいと思う人には、最良の入門書になる。

book data:四国遍路の寺(上・下)/五来重/角川書店/1996年
posted by namo at 21:50| Comment(0) | TrackBack(2) | 遍路本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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